映画「殺人の追憶」

殺人の追憶

韓国で数々の賞に輝き、なおかつ興行成績を塗り変えたという
ポン・ジュノ監督の刑事サスペンス。
1986年〜91年にかけて起こった10人の若い女性の殺人事件を
軍政下の時代背景の基に、二人の刑事パク・トゥマン(ソン・ガンホ)と
ソウル市警から派遣されたソ・テユン(キム・サンギョン)が対立しながら
数々の容疑者を取り調べて真相に迫って行くサスペンスミステリー。

最も感心したのは脚本とカット割りの見事さ、
多くの事件と次々に登場する人物像を無理なく導入しリアリティー
持たせていく手腕は映画への情熱の深さを感じさせる。
ハリウッドや日本にもこんな監督がきっと居るはずなのだが
それを赦す環境と情熱が希薄になっているような気がする。

俳優では主役の地元刑事パクを演じたソン・ガンホが旨い、
軍政下の荒っぽい取調べをしていた彼がだんだん都会の刑事と
仕事を共にするうちに考え方が変って行く様子をよく演じている。
このあたりは「夜の大捜査線」の署長と黒人刑事の感じを思い出した。

結末に物足りない部分が残ったが、実際の事件が未解決ということで
止むを得ないかも、それとも続編計画中なのかな?