「LOVERS」

チャン・イーモウ監督の最新作「Lovers」を見る。
原題「十面埋伏」は四方八方に伏兵がいるという意味らしく
それが何故恋人達の三角関係の話になったのか・・・。

前作「HERO」のスタッフを召集して作られた武侠ものと聞けば
何を置いてもと見ざるを得ない。
チャン・イーモウ監督のファン、中国武侠小説ファン、或いは
香港ワイヤーアクションファンにはオススメだがそれ以外の方には"o(-_-;*) ウゥム…
冒頭の遊郭「牡丹坊」のシーンには脱帽、
ワダ・エミの華麗な衣装に身を包んだ「チャン・ツィイー」が
3mの袖を新体操のように優雅にしかも激しく舞いながら太鼓を打つ、
長身のプロポーション抜群の彼女の新しい魅力を発見した。

それ以外のストーリーは全体的に「グリーン・ディスティニ―」を意識したもの、
竹林の武闘シーンなど目新しさはあるものの二番手の感想は否めない。
その他のシーンも一つ一つはストーリーを膨らませる予感を感じさせるが
残念ながら本筋と有機的に結びつくところまで行っていない。

この事につき、後で少し調べて判った事、
もともとこの映画にはもう一人香港映画の大スター
アニタ・ムイ」が重要な役で出る予定だったらしい。
その彼女が製作途中で癌で急死してしまったために
大幅に脚本の変更を余儀なくされたらしい。
彼女の役に代役を立てる事はせず、その部分を使わず
アニタ・ムイ」に捧げるという献辞と共に封印されてしまった。
恐らくこのことがストーリーの欠落を生んだのではと想像される。