ミスティック・リバー

アカデミー賞候補の呼び声高い
クリント・イーストウッド監督の作品「ミスティック・リバー」を見る。
「もうひとつのスタンド・バイ・ミーを見るために、あなたは大人になった」
がキャッチコピー

例によって公開中の映画、しかもミステリーに類する映画なのでネタばれを避けるが、
見終わった後の率直な感想は「良い映画だけれど、好きな映画ではない」だった。

ストーリー、脚本、俳優の演技どれも悪くないのだが魅力的に感じられない。
少年時代の体験が現在の事件に影を落とすプロセスを納得させるための
街や生活の変化のリアリティーは省略され
(時間の関係か)有機的な繋がりの納得性に乏しい、
唯一子役と大人役の顔が似てるのがご愛嬌。

気になったのは画面の編集、
箇条書きのように前触れ無く切り替わりエピソードが積み重ねられていく。
骨太の演出かもしれないがやはり次の場面を暗示するものが暗喩として
あってストーリーの連続性が保たれるのでは?
後で思い返してもこの映画では食事をしたり、片付け物をしたり、
仕事をしたりといった生活のディテールが無く
俳優の演技が浮いてしまってメソッド演技のサンプル集のように感じられた。

けして楽しめなかった訳ではないのだけれど、体質に合わないというか
何だか背中がむずがゆくなる感じ、
もう少しアメリカの普通の町のリアリティーがほしかったかも。