「イノセンス」

イノセンス INNOCENCE

押井守監督のアニメーション映画「イノセンス」を見る

士郎正宗原作の「攻殻機動隊」をアニメ化した「GHOST IN THE SHELL」の続編
前作が「MATRIX」の原案になったことで知られアメリカでアニメ部門の人気をさらった。
 ストーリーは公開中のため触れないが、私的には "Just Hit"泣ける場面もあったりして。
と言いつつ気にいった場面のさわりを少し、
まず気が付くのが舞台となる街の背景、これは香港九竜の旧市街だよ!
行った事がある人は分かると思うけどスラムのビルに猥雑な店、人雰囲気そのまんま。
それと中国語圏らしい設定、北端エトロフ特区なんて泣かせるよね、
個人的な未来像として日中韓が合体して「東アジア連邦」になると信じるものとして
東アジア連邦日本共和国東京特区なんて夢見てしまう。
このあたりはP/Kディックの原作を映画化した「ブレードランナー」の影響と思われるけど。
 もう一つ目に付くのがせりふに引用や警句が多いこと、
相棒の若い刑事「トグサ」に度々「仕事に戻ろう」と言わせてるほど、
ネットの感想では概ね引用の嵐、眠くなるなどとあったが、これは押井監督のモノローグ、
意味は追わず言葉のコラージュと受け取るべきだろう。
中でも耳に残ったのは俳句;
「春の日やあの世この世と馬車を駆り」後で調べたら 中村苑子さんと言うかたの句らしい。
季語と心象とを意味を介さず投げ出して結果の響きあいを計算する手法と思えた。
 それにもう一つP/Kディックの世界、エトロフ特区のキムの屋敷でループプログラムに
捉えられて現実世界を歪んで体験する件、「宇宙の眼」って作品で覚めたと思うと
そこは次の人の仮想空間だったという、現実とシミュラクラの区別がつかなくなるというあれ。
 取りとめなくもう一つ
暴走し始めた人形/サイボーグたちを阻止すべく一体の人形にダウンロードされた
むき出しの「草薙素子」に上着を着せ掛ける「バトー」に
素子が「変ってないのね」と声をかけるシーン。
電脳だけの存在に成ってなお男と女の情感を感じさせる。

興味のない人、前作を見てない人には訳のわからない感想と思われるが、
続いて公開される「アップルシード」や「キャシャーン」と一味違うところ見てほしい!